【商工会議所の指導員研修におススメ】中小企業診断士40名が申込み「価格転嫁・値上げ支援の実践ノウハウ」を開催
中小企業診断士向けに、
「価格転嫁・値上げ支援の実践ノウハウ ~応援される値上げのために~」
をテーマに、Zoomでオンライン研修を行いました。
今回は、普段から中小企業の経営支援を行っている中小企業診断士の皆様を対象とした研修で、40名のお申し込みをいただきました。
原材料費、人件費、物流費、エネルギー費などの上昇が続く中、
「値上げが必要なのは分かっているけれど、お客様が離れるのが怖い」
「取引先にどう説明したらいいか分からない」
「そもそも、どのくらい値上げすればいいのか分からない」
という相談は増えています。
そこで今回は、事業者自身が値上げする方法だけではなく、
中小企業を支援する立場として、値上げ・価格交渉をどうサポートするか?
という視点から、実際の支援で使える考え方や進め方をお伝えしました。
デフレ時代からインフレ時代へ。商売のやり方も変わる
研修の最初にお話ししたのが、
デフレ時代とインフレ時代では、商売のやり方も変える必要がある
ということです。
長く続いたデフレ時代では、
値段を上げない。
コストを下げる。
数量を増やす。
そんな経営に多くの会社が慣れてきました。
しかし現在は、様々なコストが上昇しています。
インフレ時代になっても価格を据え置き続ければ、売上が変わらなくても利益は少しずつ削られていきます。
だからこそ、これからの中小企業経営では値上げも重要な経営課題になります。
ただ、私は「価格転嫁」という言葉には少し違和感があります。
お客様からすると、
「そちらのコストアップ分を、こちらに転嫁される」
という印象にもなりかねないからです。
そこで今回の研修では、
価格転嫁ではなく「適正価格への見直し」
という考え方を大切にしました。
目指したいのは、一方的に押し付ける値上げではなく、
「それなら仕方ないね。これからも取引を続けよう」
と思ってもらえる「応援される値上げ」です。
「何円上げる?」の前に「いくら利益が必要?」を考える
値上げの相談を受けると、
「5%くらい上げましょうか?」
「100円くらい上げたらどうでしょう?」
という話になりがちです。
しかし、その前に確認したいことがあります。
それは、
「この会社はいくら利益を残す必要があるのか?」
です。
そこで研修では「お金のブロックパズル」を使って、売上、粗利、固定費、利益だけではなく、税金、借入金返済、設備投資まで含めて会社のお金を考えていただきました。
決算書上では黒字でも、借入金の返済や設備投資まで考えると、実際にはお金が残らない会社もあります。
そんな会社に、
「原材料が5%上がったから5%値上げしましょう」
では十分とは限りません。
まずは、
会社として必要な利益を明確にして、そこから逆算する。
数字が明確になることで、経営者自身も、
「なぜ値上げする必要があるのか?」
が見えてきます。
実際の支援でも、ここが整理できると、値上げに対して経営者の腹が座ることがあります。
購買担当者になって「応援される値上げ」を考える
今回はZoomのブレイクアウトルームを使ったグループワークも行いました。
一つ目は「AB思考整理」。
参加者の皆さんに購買担当者の立場になっていただき、
A:値上げを受け入れたくないと判断する要素
B:値上げを受け入れても仕方がないと判断する要素
を考えていただきました。
売る側だけで考えていると、
「原材料がこれだけ上がったんだから、値上げするのは当然」
となりがちです。
でも、買う側から見るとどうでしょう?
相手の立場から考えてみることで、
「どうすれば相手にも納得してもらえる値上げになるのか?」
が見えてきます。
そこから、誠実な対応、顧客を巻き込むこと、自社の価値を見えるようにすること、価値を追加すること、値上げ以外の代替案を考えることなど、
「応援される値上げ」に必要な考え方
についてお伝えしました。
年商2億円の食品製造業で価格交渉戦略を考える
後半では、年商2億円の架空の食品製造業「A食品株式会社」を使ったケース演習を行いました。
食品工場向けに、たれ・スープ・つゆ・調味液などを製造する会社です。
主要取引先4社について、売上額、粗利率、取引内容、代替可能性、関係性、過去の価格改定時期など、それぞれ違う条件を設定しました。
その上で、
「まず社長とどんな手順で話しますか?」
「どの取引先から価格交渉に行きますか?」
「具体的にどんな戦略で交渉しますか?」
をグループで考えていただきました。
例えば、売上は大きいけれど競合への切り替えが容易な顧客。
売上はそこまで大きくないけれど、共同開発商品を使用していて他社に切り替えにくい顧客。
粗利率は高いものの、小ロット、短納期、高頻度配送によって大きな手間がかかっている顧客。
条件はそれぞれ違います。
だから、
「一番粗利率が低い会社から値上げする」
と単純には決められません。
さらに、
「値上げするか、しないか」
だけでもありません。
最低発注ロットを増やす。
納品頻度を見直す。
急な追加発注の条件を変更する。
このように、価格以外の取引条件を変更することでも利益改善はできます。
必要利益から逆算して、取引先ごとに価格交渉戦略を変えていく。
こうしたところまで考えて初めて、実際の経営支援で使える値上げ支援になってくると思っています。
受講された中小企業診断士の皆様の声
研修終了後にアンケートをお願いしました。
以下、お名前・ご感想ともに、アンケートにご記入いただいた内容をそのまま掲載します。
TK 様
どの顧客から交渉するのが良いか、という考え方が参考になりました。
Y.T 様
中尾さんが実施されておられる値上げの交渉のノウハウを知れてよかったです。
林 晃司 様
マインドセットと日頃からの関係性が交渉では重要であること
伊藤大介 様
価格交渉支援の際にマインドセットが大事という視点は新しかった。
K・H 様
グループワーク等で考えのシェアができた点が良かったです
コバ 様
内容がすごくわかりやすくて、やってみようという気にさせられるのが、プロのコンサルタントを感じました。
けんたろう 様
お金のブロックパズルは使いやすくていいですね。価格交渉を行うことは必須のこととなっているので、顧客と交渉するときに使ってみたいと思います。ありがとうございました。
SW 様
中小企業の社長は、自社の損益状況を把握していないケースが多いので、まずは社長に「いくら値上げしたいですか?」と聞くのは有効だと思った。
K 様
具体的な戦略を練るワークが大変参考になりました
S・H 様
手順やスキルの前に、顧客との関係性や誠実な対応などがベースになると実感しました。実際の支援では、定量的・定性的両方のアプローチで社長様に寄り添いたいと感じました。BtoCでのアプローチのコツもあれば知りたいです。ありがとうございました。
K・H 様
本セミナーを受ける前までは、値上げについては「価格転嫁」(顧客に対して申し訳ないもの)という認識が強かったですが、本セミナーを受けて「適正価格への見直し」という視点を持てるようになりました。クライアントのマインドセットを変えるところから始まる「応援される値上げ」を実現するためのステップを学ぶことができて本当によかったです。
岩田 潤一 様
マインドセット「何守りたいですか?」が最初に必要ということが新鮮でした。AB思考整理で値上げを受け入れたくない、受け入れたくなる状況がイメージできました。
KK 様
診断士として支援先に価格転嫁=値上げを促す立場ではありますが、値上げの手順やアプローチ戦略といったレベルまで解像度を上げて考えておられる点が参考になりました。とくに、新商品・新規顧客に価格転嫁していくことで全体収支を改善していく考え方は非常に参考になります。
T 様
値上げの第一歩は、社長のマインドセットを、「値上げは悪いもの」ではなく、「守りたいものを守るために必要なもの」と捉え直すことであると認識したこと。
M.M 様
値上げと新規顧客開拓をセットで考えること。値上げしたら数量が減るというリスクに対して、新規顧客を開拓する対策をセットにすることはとても良い。
「価格転嫁」ではなく「適正価格化」は賛同します。「転嫁」の表現は取引先にマイナスのイメージを与えると思う。
MO 様
7つの手順を基に戦略的に進めていく流れは大変参考になりました。
大江耕次 様
まず中尾先生のお話しされる言葉についてですが、専門的で難しい言葉を一切使っておらず、かつお金のブロックパズルなど、事業者にとってとてもわかりやすく話をされていると思いました。また、事業者に聞き取りをする内容や順番が適切に問題をとらえていると感じました。まずは少しずつでも今日学んだことができるようになりたいと思います。
H 様
値上げ交渉を迷っている社長に、値上げのステップやお金のブロックパズル、価格交渉支援ツールを紹介しようと思いました。
佐伯隆 様
冒頭にお話しされた売上をアップするには「値上げ+新規開拓」というストレートな話しが印象的でした。おっしゃる通りと思いました。その具体的な手法として値上げのノウハウについてお聞きでき感謝です。実務に活かしたいと思います。ワークで印象的だったのは、演習問題で、自分的には時間的に足りなく十分に考えられませんでしたが(演習問題のチャート2枚目もありませんでした)、他の方の意見をお聞きして、その前の値上げ戦略構築が腹落ちできました。
TO 様
中尾さんが現場で実践されてきた、値上げ7ステップを体系立てて教えてくださり大変勉強になりました。しっかりと順序だてて、経営者の「できない」を解きほぐしながら実行していきたいと思います。
商工会議所の経営指導員研修にもオススメです
今回は中小企業診断士の皆様を対象に行った研修ですが、商工会議所などで事業者支援を行う経営指導員の皆様にも活用いただきやすい内容です。
事業者から、
「原価が上がって利益が出なくなってきた」
「値上げしたいけど、お客様が離れそうで怖い」
「取引先にどう説明したら良いか分からない」
「どのくらい値上げすれば良いか分からない」
と相談された時、
「値上げした方が良いですよ」
と伝えるだけでは、なかなか経営者は動けません。
まず数字を整理する。
何を守るために利益が必要なのかを確認する。
顧客や商品、競合、取引条件を整理する。
どの取引先から、どんな順番で交渉するのかを考える。
価格以外の条件変更も検討する。
そこまで一緒に考えることで、経営者が実際に動きやすくなります。
今回の研修では、知識を一方的にお伝えするだけではなく、チャットやグループワーク、ケース演習を通じて、
「実際の経営相談でどう使うか?」
まで考えていただきました。
商工会議所の経営指導員研修としても、
価格転嫁・値上げ支援だけでなく、財務分析、利益改善、経営者へのヒアリング、実行支援まで学べる研修
として実施できます。
商工会議所、商工会、金融機関、各種中小企業支援機関などで、
「経営指導員に、もっと実践的な値上げ支援を学んでもらいたい」
「決算書を見るだけではなく、経営者の行動につながる財務研修をしたい」
「実際の相談現場で使える研修を探している」
という方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。